きまぐれ通信

薬剤師、国際中医専門員、少林寺拳法、子育て、いろいろ人生現在進行中

漢方って名前が変わる!?

開いていただき、ありがとうございます✨

 

私用で東京に行っておりました。

晴れたと思ったら次の瞬間にスコール。

と思ったら15分後には青空見える。

先日購入したニットパンプスをおろそうと思っていましたが、雨で濡れると嫌なので止めました。

 

今日は帰りの新幹線から市販薬のお話です。

 

ルビーナ(アリナミン製薬)

女性の更年期に良いとされるルビーナの中身は、「連珠飲」という漢方薬です。

連珠飲=苓桂朮甘湯+四物湯

 

更年期になると、女性ホルモンのバランスが崩れ、ホットフラッシュ、イライラ、不眠などの身体の不調に繋がります。

 

苓桂朮甘湯とは、茯苓と白朮で津液の状態を整え、桂枝で気の流れを整えます。

そして四物湯で血を補います。

 

連珠飲。昔、漢方保険調剤薬局で働いていたときは約束処方としてガンガン出ていました。いつもストック置いておかないとすぐになくなるので、いつも予製を作っておりました。それだけ需要があったんですね。

更年期限定でなくても、食欲がなく、耳鳴り、めまい、不眠、動悸などが続いているときは一度試してみる価値があると思います。

よく新聞広告で「めまいに効いた!」「耳鳴りが消えた!」等の宣伝で紹介されてる漢方薬は、中身を見ると連珠飲だったり苓桂朮甘湯だったりします。

 

~私も昔、育児と仕事で疲れがピークのときに突然に耳鳴りに悩まされたことがありました。突然始まり、夜も昼も鳴りやまず、マンションから飛び降りたくなる衝動に駆られそうになったのを覚えています。

 耳鼻科に行っても問題なく、処方される薬で治ることもなく、そして苓桂朮甘湯を飲んでみると3日で綺麗に治ったことがありました。~

 

 ちなみに、ルビーナと同じくアリナミン製薬から出ているストレージというお薬。

これも、中身は漢方薬です!

 

・ストレージI→安中散(ストレスで胃痛)

・ストレージH→半夏厚朴湯(ストレスで喉のつまり感)

・ストレージG→半夏瀉心湯(ストレスで下痢)

 

漢方薬って名前を変えて身の回りにいろいろあるんですね〜(^^)

 

ではそろそろ降車します〜

漢方薬のイラスト

ルナ・レインボー

1年前から始めたオンライン英会話NativeCamp。

 

これはいい!

6500円でオンライン英会話が受け放題です。世界中で先生が待機。『今すぐレッスン』ボタンで瞬時に先生とつながり、あらかじめ選んでおいた教材でレッスンが受けられます。1回25分。

 忘れもしない初めてのレッスンは、フィリピンの若い女性の先生。

「ハウ アァ ユー?」

「アイム ファイン」

「ソーリー」

「アイムソーリー」

ガチでこれくらいしか喋れず、先生の話してる英語もさっぱりピーマンで、愛想笑いに徹した25分。

終わったあとの脂汗はひどいものでした。

こうなると二回目が重い‥。

でも一週間無料体験期間中だったので、そこは頑張って乗り越えました。日本人の先生を選ぶことによって( ´∀` )

あぁ日本人って楽だわーとぬるま湯にしばし浸かり、紆余曲折あっての今は日本人の先生は選ばず、フィリピンの先生を中心に受けています。

 

でも今度はフィリピンから脱出したい!という欲望が。

 

そこで選んだザンビアの先生。

アフリカ大陸の真ん中に位置する国です。

あれ。勝手に暑いと思っていたけど、フードパーカーを着ていらっしゃる。

「Is it cold?」

と聞くと

「Yes!Temperature is 13 degrees!」

13度!

しかも超ドライだと。

アフリカが、湿邪の知らない避暑地のようです。

NativeCampでは写真や動画もチャットボックスで送信できます。

アフリカの国立公園にて、その先生がチーターやライオンをヨシヨシして一緒にお散歩しているという動画も送っていただきました。

さすがアフリカの大地!

 

そして、満月に見える虹ルナ・レインボウを教えていただきました。

6月~7月に見えるという、満月の月明りによる虹🌈

水量や満月等条件がそろわないと見えないそうです。

ヴィクトリアの滝という世界遺産で見える超神秘的な景色。

 

「Come on to my country!」と先生。

行きたい行きたい行ってみたい!

でもその前にもっと英語でトークができるようにならなければ。

中医学も好きだけど、英語も頑張ります。

 

日中のヴィクトリアの滝です。

 

子供に出ない駆瘀血剤

梅雨明けが発表された中国地方です。

真っ青な空と真っ白な雲が、くっきりした境界線を作って広いキャンパスに夏空を描いていました。

梅雨明け前から蝉も鳴き始め、車内の温度は身の危険を感じる暑さ。

暑さで一瞬で溶けるセブンイレブン珈琲の氷。

眼鏡の上からかけられる百均で買ったサングラスをかけ、バックがよく見えるようにミラーを調節しようとふと見たら、鏡に写ったタモリ!じゃなくて私でした。

なぜタモリに見えたんだろう。

サングラスの形?顎の形?そもそも性別だって違うのに。

モヤモヤが消えません。

タモリは好きだけど。

 

昨夜は少林寺拳法の日でした。

あーきちゃったね、試験の日。

ギャングエイジ男児たちはソワソワ、ソワソワ。

「もうすぐうちらやない?」

「やべーよやべーよ、怒られるって」

「え、上受突の表って、足どっち?右前?左前?」

「この時って手はグー?パー?」

「ねぇせんせいこっちみててよ!」

「あーーおわりだぁー」

と思ったら

「夏休みの宿題一日でおわらせる!」

「いや三日でおわらせるし」

「ドリルもうはじめたしー」

ホウセンカの日記ある‥」

突然の話題変更。(現実逃避)

その3分後に先生からの雷落ちる。

見ていて飽きません( ´∀` )

 

子供って流れがある感じがします。

全身で動き、言葉もどんどん出てくる。気持ちもよく流動し、喜怒哀楽も素直に表現。

身体の中で「気」が動いているのがよくわかります。

「気」が動くと、一緒に「血」も動く。

そしたら、血が滞ることがない。

以下に示すような、大人がよく飲む「駆瘀血剤」は、子供にはまず出ません。

 

┃治打撲一方

昔務めていた薬局ではあまり処方されていなかったのですが、最近患者さんから評判がいいのがこの治打撲一方。打ち身をして、なかなか痛みが引かないときに出ます。1ヵ月くらい服用した患者さんが、「一か月飲んで綺麗に治った」と喜んでいました。

大黄という下剤効果のある生薬が入っているので、投薬時は「お通じがよくなる生薬が入っているので、あまりに下痢がひどいときは服用をやめて医師に相談をしてください。」と言います。

 

┃桃核承気湯

昔、この桃核承気湯を車にいつも入れていました。超強力な駆瘀血剤です。運転中に追突されて、このままだとむち打ちになるという時にできるだけ早く服用します。服用すると高い確率で下痢をします。ただ、この下痢で瘀血を追い出しているという考え方なので、最初の下痢は止めずに脱水に気を付けながらしばらく飲み続けます。下痢が生活に支障をきたさなければ、1週間くらい服用したら終了。するとあら不思議。むち打ちにならない。

 昔、私と母が乗っていた車が後ろから追突されたとき首の痛みを訴えた母にすぐにこの桃核承気湯を飲んでもらいました。数日下痢をしましたが、そのあとは首の痛みもなく、すぐに通常の生活に戻りました。

 あ、強い薬なので妊婦さんは飲めません!そのほか、身体の弱った高齢者の方にも私は怖くて勧められないです。比較的体力のある方向けだと思います。

 

┃桂枝茯苓丸

「これ飲んでた方がなーんか調子がいい。飲まないと調子狂っちゃう。」

とよく患者さんに言われるのがこの桂枝茯苓丸。

「顔のブツブツに飲んでたけど綺麗に治ったから服用中止になりました。」

「昔やった脳血管障害の予防に飲んでいます。」

子宮筋腫が消えた!」

幅広く効いてくれる駆瘀血剤です。

 

 

 

子供たちは無事に試験に合格。

「合格したけど…なーんか…」

いつも元気のいい一人の男子が心に引っかかるものを抱えて帰っていきました。

この子は初めて来たとき、じっとできない子でした。

すぐ動いてしまう。

「学校でも毎日何か、しでかすんです。」

とお父さんがお話されていました。

きっと学校で注意されることが多いと思います。

きっと、言われすぎて本人もわかっていると思います。

それ以上苦しんでほしくない、と思います。

すぐ動いてしまうのは、いずれ落ち着きます。

本人も、ちゃんとわかってるから。

ちょっと待っててほしい。

この男の子の目は輝いていて、伸びしろがたくさん。

心に引っかかるものをうまく昇華して、大きくなぁれ(#^^#)

 

 

「血」病の弁証

3連休ですね。いかがお過ごしでしょうか。ブログのデザインを着せ替えしてみました☺

 

今日は、高1の娘が「夢ナビライブ」というオンライン大学合同説明会・講義聴講に参加しました。

数ある大学の数ある講義から、興味のある分野の講義を選択して聴講できるという現代っ子ならではの特権。

う、羨ましい…。

画面共有で、教授の資料が手元ですぐ観れる!

なんてわかりやすいんだ・・。

これからの道を模索中の娘。

心躍るような分野に出会えるといいなぁと思います(*^^*)

 

 

今日は、漢方薬と「血」病のお話です。

長年漢方薬好き好き言ってると、漢方薬と女性の相性っていいなぁと思うことが多々あります。

 

初めて務めた薬局では、当時20代前半の子宮筋腫診断有りの事務さんが、

「桂枝茯苓丸で子宮筋腫が消えたんよー!」

と大喜びで、筋腫が消えたことを機に結婚に踏み切ったことがありました。

 その時は、漢方薬で血の塊が消えるのか、とびっくりしましたが、あれから20年経った今ではその理屈や効果がわかるようになりました。

 

西洋薬でいう血液と同じようで違う概念。

身体の大事な栄養成分。

では代表的な「血」病を二つご紹介します♪

 

血虚

食が細くて痩せて髪もパサパサで色白で‥‥「血」が足りないなぁと一目でわかりますが、これを「血虚」と呼びます。まさに「血が足りない」状態。

血虚の症状は他にもあって。

・顔色が悪い

・爪や唇の色が薄く悪い

・眩暈

・動悸

・物忘れ

・不眠

・疲れやすい

・食が細い

・手足のしびれ

・目の乾燥

・脈が細い

・月経量が少なく色も薄い

・月経後に痛み

教科書レベルになると以上のことが書いてあります。

 

女性はただでさえ月経があり血虚になりがち。

それに接触障害やストレスで食が細くなると血も気も虚して、鬱や不眠を引き起こしてしまいます。

そんなときに使う生薬は

補血薬」と呼ばれる、当帰、白芍、熟地黄、阿膠(あきょう)等。

阿膠とはロバの皮のことで、コラーゲンたっぷりの生薬。

昔薬局で煎じ薬を取り扱っていたときにこの阿膠もありましたが、焦げ茶色のキラキラ光ったゼラチンのかけらのようでした。

そしてこれらの補血薬で構成される漢方薬

四物湯、当帰芍薬散、帰脾湯、炙甘草湯等。

私も最近更年期の足音が近づいてきたので、この四物湯を服用しています。

 

血瘀

台湾では、産後に必ず飲むお薬があるそうです。

「生化湯」

妊娠中に長く血を子宮に留め、出産で一気に出すけど、全部綺麗に出るわけではなく。

残った血が腹部の痛みやイライラを引き起こします。

かくいう私も一人目の産後2週目に、突然大量の悪露が出て病院に駆け込んだことがありました。突然不眠不休の生活が始まり、心身共に疲れ果てていた矢先のことでした。

「生化湯」は、産後のこうしたトラブルを避けるため、子宮に残った血を出し、また一方で身体に必要な血を補うための薬です。

知っていたら飲んでたのにな。

 

血瘀の状態になると、自覚症状は少ないのですが、舌や脈に特徴が現れます。

・痛み(刺痛といい、刺すような痛み)

・固定されたしこり

・皮膚や舌が黒っぽく紫色がかっている(全体OR部分的)

・月経前に痛み

・月経中、レバーのような塊が出る

・渋脈(引っかかるような脈)、弦脈(ピーンと張ったような脈)

 

血瘀は血虚や冷えが原因で起こることもあります。

血瘀に使われる生薬は

「活血薬」と呼ばれる、丹参・紅花(ベニバナ)・益母草(メハジキ。昔から産後の母親を助ける〈益する〉薬として名付けられた)等。

鶏血藤(けいけっとう)という生薬も活血薬にありますが、この植物は茎を折ると赤い汁が出てくるそうです。

 

そして、これらの生薬を使っている血瘀を治す漢方薬

桃核承気湯、血府逐瘀湯、温経湯、桂枝茯苓丸等。

 

 

 

こんな読むのも難しい生薬とか漢方薬とか手に入らんし。

苦いしー。

高いしー。めんどくさいしー。

ほんとに効くのかわからんしー。

と、ただでさえ敷居の高い漢方薬にもっと抵抗感を示してしまった方へ。

 

ごめんなさいです。

愛は遠くなってしまったかもしれませんが、この手の漢方薬は効果があります。

婦人科でお悩みの方がいたら、私は断然漢方薬をお勧めします。

でも、普段の食事でも取り入れることができます。

 

鉄分、タンパク質を摂りましょう!

たんぱく質のイラスト(栄養素) | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

マグロ、カツオ、鮭、肉、卵、大豆、小松菜・・。

なんとなく赤いものが多くないですか?え?そういうものだけ並べてる?w

赤いものを食べましょう。

ロバを捕獲しなくても大丈夫。

切ったら血がしたたる植物を見つける必要はなし。

タンパク質は筋肉や肌や髪にとって大事な栄養素です。

血虚や血瘀で現れる症状は、鉄分やタンパク質の不足で現れる症状に似ています。

 

 

次回は症例報告として記事をアップしたいと思います。

 

「待つ」ということ

今日の仕事着はー

日中白衣、夜道着( ´∀` )

 

今日は少林寺拳法ネタです。

 

 

 

毎週水曜日は、少林寺拳法少年部の日。

家事を言い訳に遅刻と早退の重役出勤を繰り返す指導者の端くれです。

 

もうすぐ昇級試験ということで、既に来ていた子供たちの目がなんか違う!

いつも級ごとに集められ、各グループに有段者が配属されて指導していますが、私はここんところ小学校3.4年生のギャングエイジ集団を任されています。

 

先週も

「あー!あいつこっち見てチッって言ったーー💢」

「うるさい!シッコ!」

「あほ!おしり!」

「うんこ!」

言い争いをしている人達のイラスト(棒人間)

我が子もこんなこと言ってゲラゲラ笑ってたなーとこっちとしては微笑ましいのですが、本人たちは精一杯の憎しみを込めて、笑いもせずガチな本気モードで罵り合っていました。

 

それが。

今週は先生が方針を変えて

『今日は自分たちで進めること。進み具合によってはOKが出たところから、今日から試験を始めても良い』

なので、私はいつものように指導から入らず、試験に出る技が書かれた用紙を渡して何も言わずに見守るだけ。質問されたら答えます。

 

「内受突はやったから、この流水蹴やろうよ。」

「読めない漢字ばっかなんですけど!」

「上受突ってこうだっけ?」

「この時の手はパーだよ!」

ゼルダ買ったー早く帰ってやりてぇ」

 

おおお‥‥!

先週はうんこやらシッコやらで雰囲気めっちゃ悪かったのに、一週間も経たずしてこの激変ぶり。

 

子供たちって、自分が主役になると途端に目の色が変わります。

 

一人、口数の少ない子がいます。

でも、理解していないわけではなくむしろ理解力は高い。ただ成長が少しゆっくりなのか動きが覚えづらい。

そんな子が、みんなが「うんこ!シッコ!」とぎゃあぎゃあ騒いでいるその場所で、小さな声で

「ここは後ろに下がる」

とか言葉を発するときがあるのです。

これ!これが大事。

この言葉を、必ず拾うようにしている。

「うん、そうそう!よくわかってるねー!」

理解力が高いので、発した言葉は間違っていない。

動きが少しゆっくりなだけで、成長のスピードはその子その子で違う。

子育て15年でやっとわかったんだ。

「待つ」ことの重要さ。

大丈夫。君は間違ってないよ。

口数少なくてみんなのペースについていけないシーンもあるけど

この前先生がみんなに質問して、一人だけ『夏至(げし)』って読めたじゃない。

 

わちゃわちゃしてる中で一人一人を見るって本当に難しいです。

だからこそ、その子の声や足取り、目の力、身体に出ている心の状態を見逃さないように、挨拶や声掛けを頑張っています。

 

 

結局、試験はどこも始められなくて来週になったけど、試験とか大会とか節目があると、「自分から頑張ろう」っていうモチベーションアップにつながりやすい。

その、『自分から』の力を引き出すために、大人の『待つ』ってやっぱり大事なんだと子供たちを見てて思います。

平日夜に学校が終わって観たいYouTubeを我慢して来てくれてる。(あ、YouTubeはいつでも観れるんだった。時代だなぁ。)

週の真ん中に、「今日も来て良かったな」って思ってくれるような一言を、これからもかけ続けていきたいです。

「気」病の症例 【食欲不振・胃もたれ編】

あっつい日が続きますね。

湿邪によって身体も重だるいし、食欲もいつもより落ちている気がする。

暑くて眠れず、翌朝には睡眠不足で既にお疲れ気味。

 

お疲れ様です。

 

こんな日が続いた週末は冷えたビールが五臓六腑に染み渡ります。

(でもちょっと待って(*_*; 冷えたビールは湿邪の元。ほどほどが肝心です。)

ところでこの「五臓六腑」ですが、これはれっきとした中医学の言葉です。

五臓・・・肝・心・脾・肺・腎

六腑・・・胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

 

これまでのブログで書いた、「気」「血」「津液」は、それぞれの五臓や六腑に存在し、例えば「気虚」が心で起きていたら「心気虚」、脾で起きていたら「脾気虚」と言います。

 

今日は、この「脾気虚」の症例を紹介します。

中医学で言う「脾」の働き。

それは想像にたやすい飲食物の消化、そしてその栄養物質を全身に運搬します。

その「脾」が元気がなくなったら?

消化ができず、全身に栄養物質が運ばれないので、消化不良、嘔吐、下痢や便秘といった消化管障害を引き起こします。

そしてなんといっても元気がない。疲れやすい。食欲落ちて。

宿題もやる気が出ない。

夕飯はテイクアウトかな。毎日はあかんけど。

消化が悪いから胃もたれから軟便まで。

いや、こんなときに揚げ物なんて。

食べるけど!

胃もたれのイラスト(女性)

 

 

このような症状の「脾気虚」には【六君子湯】がおすすめ。

 

六君子湯

組成:人参・白朮・茯苓・半夏・陳皮・生姜・大棗・炙甘草

治法:補気健脾

 

人参、白朮、大棗、炙甘草などで気を補い、茯苓や半夏で水分の調節をします。

六君子湯を投与したあとに消化管運動が亢進したデータもあり、グレリンという成分が関わっていることがわかっています。

 

機能性ディスペプシアって聞いたことありますか?

2013年に保険診療名になった病名ですが、検査異常なし、薬でも効かない、

「どうもこうも胃が悪くてねぇ」

という状態。

それに合わせて(?)アコファイド(一般名:アコチアミド)という薬が発売されて、しばらく薬局で取り扱いが続いておりました。

(アコチアミド:アセチルコリンエステラーゼ阻害薬。アセチルコリンの分泌を増やして消化管運動を促進させます。)

今はあんまり見ないけど、どうなっているんだろう。懐かしいなぁ。

 

そのアコファイドの漢方版ってイメージです。

 

以下に、よく聞く症例を具体例を挙げて紹介します。

 

 

40歳男性

 

昔から胃が悪い。

慢性胃炎と診断あり。胃薬常用中。

会社員として長年働き、最近疲れやすい。週末にはぐったりで、外出する元気なし。

軟便。

舌:淡白色。膩苔(じたい)

 

六君子湯服用開始後、半年足らずで症状緩和。

明らかに疲れにくく、週末に外出もできるようになってきた。

胃薬は食べ過ぎた後など調子の悪いときだけ併用していたが、半年経ったあとからは漢方薬も廃薬。それ以来、体調は安定。

 

 

患者さんにも、六君子湯は短期間ではなく、長期間服用している方が多いです。

「飲んでるときはあまりわからないけど、飲まないとやっぱり調子が悪いのよね。」

という方がちらちらおります。

「気」を補ってくれるので、疲れにくいというメリットがあるのでしょうか。

医療用にも市販にもあります。

冷え性の方はお湯に溶かしてお飲みください。生姜が入ってるので、温める効果を高めてくれますよ(^^♪

「気」病の弁証

こんばんは🌙

今日はまた中医学のお話です。

基礎から振り返ると、いろいろ思い出して勉強になります。

 

弁証論治

べんしょうろんちって読みます。

中医学の醍醐味。面白いところ。

この弁証論治の概念を頭に入れておくと、「患者さんの症状を診て漢方薬を決めるまで」の流れが分かるようになります。

ここでいう「弁証」とは、患者さんの訴える主観的訴えと、中医師が診る客観的症状(脈を診る切診、舌を診る舌診、顔色・皮膚の状態・目や髪の毛などを診る望診、体臭・声・呼吸などを診る聞診、寒熱・睡眠・排泄物・月経などについての問診)を分析・統合し、ある性質の症状を「漢字4つ+証」で表すことを指しています。

 例えば、同じ咳でもいろいろ原因があるわけで、

  寒さによる咳・・・風寒襲肺証

  熱による咳・・・風熱犯肺証

  乾燥による咳・・・風燥傷肺証

だったりします。

西洋医学だったら

 咳→咳止め となりますが

中医学ではその間に一つ増えて、

 咳→寒or熱or乾燥→それぞれに合う漢方薬 となる構図です。

その漢方薬を決めることを「論治」と言います。

で、その肝心な「寒か熱か乾燥か?」を決めるときに診るのが、舌だったり脈だったり、冷え性かまたは、ほてりタイプなのか等の体質だったりするわけです。

 

でも、これって皆さん日頃から考えてないですか?

「昨日冷房入れっぱなしで寝てしまったから冷えちゃったのか、今朝から咳でるわー」

とか

「冬で乾燥してるからか、喉痛いわー」

とか

無意識に原因と結果を結び付けてる。でも、それが正に中医学の考え方になってて、そこに冷え性だとか歳とって潤いがもともと少なくなってきているとか、体質を組み合わせて、それに合わせて漢方薬や薬膳を取り入れる。

 

ひとが自然にやっていることを、ちょっと専門的に診ているのが中医学

って思うんです。

うん、やっぱり面白い!

 

「気」病の弁証

本題。

今日のお題は、「気」の弁証。

「気」ってどんな症状を引き起こすの?っていう問題。

【「気」とはなんぞや】のブログと重なっているところもありますが、ちょっと復習。

 

orennjikannpou.hatenablog.com

●気の働き

①推動作用

人体の成長を促したり、血液や身体の水分を流したりする作用。

②温煦作用

体温の維持。「気」が虚している状態では冷え性になったり眠くなったりします。

③防御作用

元気いっぱいの人で風邪をひかない人は、「気」が張っていたり病邪を追い出していることが考えられます。皮膚には「衛気」といわれるバリアーが張られていますが、この「衛気」が十分働いていると、皮膚からの病気は入ってきにくくなります。

④固摂作用

これは出血や汗をかいたときなど、液体が外に漏れることを防ぐ作用です。また、内臓の位置を固定する作用があります。「えいやっ」と気合を入れると出血が止まる、ということではありません。

⑤気化作用

これは、身体の中で起こっている消化や代謝、津液の汗や尿への変化を促す作用。

 

こんなにたくさんの働きがある「気」が虚したり滞ったりすると、どうなるか。

 

気虚

文字通り、気が虚している状態。

上の①~④がスムーズにいかなくなります。

すると、

①→血液や体液が滞り、浮腫みや疲れのもとに。

②→冷え性 ※冷え性気虚ではなく、冷え性の原因の一つとして考えます。

③→免疫力低下。風邪をひきやすかったり。

④→自汗。汗を止める力が虚して、普段からしっとりじっとり汗をかいています。

⑤→消化や代謝の低下。

具体的に言うと↑の説明ですが、

ざっくり言うと、

疲れやすい、無気力、自汗、活動時に諸症状悪化

などの症状が「気虚」の代表症状です。

 

そして、この時に考える生薬は補気剤と呼ばれる生薬たち。

人参・黄耆・白朮・山薬・大棗など。

山薬って山芋のことです!

大棗はナツメ!

普段使いは難しいけど、人参はいけるのでは?

漢方薬では「四君子湯」が代表方剤です。

 

気滞

気が滞っている状態。

「気」自体が局部で滞ると、特徴的な症状が出ます。

 悶・張・痛

お腹や胸が張っている感じがする、もしくは張って痛い。

PMSで胸が張ったりしますが、あれもこの気滞が原因。

あとゲップ(中医学では噯気と言います)も。

ストレスもこの気滞と結びつけて考えることが多いです。

 

こんなときに使う生薬たちは行気剤と呼ばれる生薬たち。

陳皮、枳実、沈香、烏薬、香附子、檳榔子など。

陳皮ってみかんの皮です。

枳実ってダイダイ

香附子はそこらへんに生えている「ハマスゲ」の根茎。ハマスゲ、子供の時に「魔法の杖~♬」って言いながら遊んでいました(*^^*)

クサイ/雑草イラスト - No: 328496/無料イラストなら「イラストAC」

 

漢方薬では半夏厚朴湯あたりがよく使われるでしょうか。

 

気逆

気が上がってきて下降ができない状態。

喘息やしゃっくりとか強い吐き気とか。

昔働いていた薬局で、「柿帝湯」という煎じ薬がある人に定期的に処方されていました。長年続いていたしゃっくりが、この煎じ薬で止まったそうです。

この「柿帝」、柿のヘタなんです。だから、柿のヘタを乾燥したものをパックして、お渡ししていました。

 

気陥

気逆とは反対を指します。

内臓をとどめておく力がなくなり、内臓下垂や脱肛を引き起こします。

これは補中益気湯を語らずして何を語る?というくらい補中益気湯が出てきます。

過去に、脱肛の患者さんに補中益気湯が出たときもありました。

でも、この補中益気湯、気をアゲアゲしてくれるので、疲れたとき、夏バテ、ひいてはコロナの予防にまで幅広い分野で活躍します。

わたしの家族は、コロナ全盛期のときに毎日補中益気湯を服用、いまだに誰もかかっていません。

 

気脱

これは考えるだけで恐ろしい・・。

ひとが亡くなる前に、突然食べ始めたり突然元気になったり突然記憶がよみがえったり。多くはないかもですが、不思議な話を聞いたことがありませんか?

身体の気が外に出るときの症状です。

そして固摂機能が失われると、大量の汗をかき、便や尿の失禁、全身の脱力

 

 

 

手足が動かなくなっても、気はまだまだ充実しています。

しっかり食事をしたり、美しいものを観たり、音楽を聴いたり。

気を上げる方法っていくらでもあるので、それぞれに合わせた「気」の補充を心掛けたいですね。

 

やっぱり、元気が一番。

しっかり食べて疲れを溜めないように気をつけなくてはですね(^^)/